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本『ファミコン発売中止ゲーム図鑑』の感想

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 ふと目についたので、読んでみました『ファミコン発売中止ゲーム図鑑』
 その名の通り、雑誌や広告で発表されたものの、発売には至らなかったゲームや、発売はされたけれどデザインやタイトルが変わった作品が、全ページフルカラーで紹介されている本です。

本の感想

 1984年生まれのわたしにとって、子どもの頃の思い出としては、6歳のときに発売されたスーパーファミコンが強いです。ゲームショップが配っていたパッケージ画像と価格だけがプリントされたチラシを、飽きもせずに眺めていた記憶があります。
 時代的には、まだ『ファミ通』が『ファミコン通信』だった頃です。



 本書は、そのタイトルの通りファミコンがターゲットとなっており、わたしの感覚からすると、もう1世代、古い印象です。
 しかし、昭和を思わせるデザインの広告や、ゲーム雑誌からの引用を見ると懐かしさが感じられ、単純に紙面を眺めているだけでも、けっこう幸せな気持ちに浸れました


 全編を通して言えることですが、面白そうに紹介されればされるほど、歯がゆい想いをします
 これが、単にレトロゲームの紹介本であれば「なんとか、ハードとソフトを入手すれば、また遊べる!」と希望が持てますが、この本で紹介されているのは発売が中止されたゲームなので、どうあがいても遊べないわけですね。
 中にはPC98からファミコンに移植されるはずだったけれど中止になった。というようなタイトルもあって、それらはプロジェクトEGGで遊べたりする様子なので、そういう観点で望みが絶たれていないものもあるにはあります。


 発売されなかったゲームの中で、いちばん面白そうだったのはバンダイから1991年に発売予定だった『ルーンマスター』ですね。
 堀井雄二監修、ミヤ王こと宮岡寛脚本に有名作曲家や有名プロデューサーが参戦した大作RPGということで、紹介文を見る限り『ドラゴンクエスト』や『ファイナルファンタジーレジェンズ』を仮想敵として意識した作品に見えます。
 もし発売されていたら、日本のRPG史上に残る作品になっていたかもしれません……。


「もし発売されていたら」と自分でも書いてしまいましたが、この表現は、本書で多用されていたものです。
「もし発売されていたら○○系の、先駆けになっていたであろう」という表現が多く、その度に「ああ、発売されなくて残念だなあ」と思うと同時に「もし発売されていたら、どうなっていたんだろう」と、ちょっと空想したい気持ちにもなります。


 発売されるはずだったけれど、発売されなかったタイトルで、いちばん驚いたのは『ファイナルファンタジー4』ですね。
 なんと、元々『FF4』はファミコン向けソフトとして開発が進められていたけれど、並行してスーパーファミコン向けソフトとして開発されていた暗黒騎士セシルが活躍する『FF5』を繰り上げたそうです。
 わたしは「FF派? ドラクエ派?」と聞かれたら「メガテン派」とも「テイルズ派」とも答えず、素直に「FF派」と答えるくらいのスクウェア好きなのですが、このエピソードは知りませんでした。


 その他にも面白エピソード、満載でしたね。
 ケムコが発売予定だった『ディジャブII Lost in Las Vegas』は特に面白そうでしたね。ラスベガスを舞台に、マフィアに追われる主人公が1週間以内に真犯人を探し出すというアドベンチャーゲームだそうですが、シンプルに面白そうです。
 調べてみると同作はアメリカはイリノイ州に本社のあったICOM Simulations社が手掛けた作品の移植作品だった様子です。ICOM社は1981年に設立され、1993年にViacomNew Mediaに買収され、その後、1998年にチーム解体となりましたが、20作以上のゲームをリリースしていました。タイトルだけですが『Sherlock Holmes: Consulting Detective』(1991年)なんかも面白そうですね。
 本作はMacVentureシリーズの第4作に相当し、『ディジャブ』『悪魔の招待状』『シャドウゲイト』のシリーズ3作目までは日本語版がファミコンで発売されたものの、第1作『ディジャブ』の後日談で、シリーズ第4弾の本作だけが残念ながら発売中止になったようです。
 推理ゲームとレトロゲームを好む身として、なんとかハードボイルド探偵小説風のテイストを持つ『ディジャブ』だけでも遊びたいですね。
 ちなみにMacVentureシリーズを、もう少し調べてみたところ、現在はICOM社のメンバーが2012年にバージニア州で立ち上げたZojoi社が版権を持っており、2012年から2015年にかけて先に『Sherlock Holmes Consulting Detective』シリーズや『シャドウゲイト』をiPadやMac、Windows向けソフトとしてリリースしている様子です。
 海外作品は知らない情報が多いので、調べれば調べるほど、ハマっていくので、これくらいにしておきましょう……。


 と思いましたが、検索して気づきました。
『シャドウゲイト』は3DSで遊べるみたいですね! これだけ、遊んでみようかしら……。?

終わりに

 興味半分で読んだのですが、発見が多く、楽しいひとときを過ごすことができました。
 ファミコン好きの方、レトロな文化が好きな方、オススメです。